神々の深き欲望(感想)
人間なんてこんな奴らだ。文明の化けの皮剥げば、所詮はクソ野郎どもさ。って感じを受けた。
現代の映画が好きな人たちは大好きかもね、みんな人間のことを信じてないし、自分が人間であることも忘れてるから。あ、でもだからこそ嫌いか、自分の嫌なところを見せられてるみたいな映画だから。
悲しくて胸糞悪くて、笑える映画だった。
でも日本映画って昔から映画ではないのかもしれない。「復活の日」もそうだったけど何というか映画を見ている感じがしない。日本映画を見ているという感じがした。日本人の生真面目な性格が出ているからなのか、クセが強い。それはいい意味でだけど。
なんというか日本の昔の映画はシーン毎にしっかりと分けられているという感じ、ヨーロッパ映画は流れるように一つの映画になってる。日本映画はそれがない、きっとスケールがデカくて、そのスケール感を出す方法がシーンを壮大にすることだからかな、ヨーロッパは話のスケールがもともと宗教とか神とかだから会話のスケールがでかい。「神々の深き欲望」は土着的で、会話のスケールは小さいけどワンシーンワンシーンは意味不明でスケールがデカい。でももしかしたら、そのスケール感を出そうとしてる感じが、日本はまだやりきれてないのかも、ヨーロッパ映画は全編を通して印象の筋が通ってるけど、日本は何というか、それがない。黒澤明はそれがあるけど。
小津安二郎も、それがある。つまり日本には昔巨匠と呼ばれるような人がいたということかな、今村昌平や深作欣二はそれには及ばなかったということかな。
多分そうだ。
でもすごいなと思ったのはすごく暗いテーマで、かなりエグい話なのに、笑えた、それは普通の事のように話されているのと同じ事だった。
当たり前のことのように描かれているということが一層、真実を物語の中に含んでいることの証明だと思った。
しかし、今村昌平は相当人間が嫌いだったんだろう。それは不良の感覚だ、今の俺の感覚か昔の感覚に近い気がした。最後の方のシーンでは「全員死ね!」と奥底から聞こえてきた。全人類抹殺計画。これはすごく面白い映画だけど、俺がワクワクするのはやっぱりイングマールベルイマンかな。
5月28日2020年